ソフトバンク・川﨑宗則はすごい。活躍の鍵となる「間」――建山義紀の「野球プロ目線」 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

ソフトバンク・川﨑宗則はすごい。活躍の鍵となる「間」――建山義紀の「野球プロ目線」

メジャー帰りのメリットとデメリットとは

日米で違うのは「間」

 まず、アメリカと日本では「間」が違います。
 日本の場合は、球もちが良く足を高く上げるピッチャーが多いですが、アメリカのピッチャーの多くは投球フォームが速く、「間」がありません。ですから、日本のピッチャーに対してとっていたような足の上げ方、タイミングの取り方はアメリカではなかなか通用しない。ワールドベースボールクラシックでもみられましたが、足を上げているあいだに差し込まれてしまうわけです。

 当然、川﨑選手もアメリカのピッチャーに対応するために――日本でやっていたような間がある投手に対して、足を上げて間を作るバッティングではなく――早めに打ち出す形を作り、ピッチャーを待つというバッティングフォームを作り上げてきていました。

 このままの形で今度は日本のピッチャーに対峙するとどうなるかといえば、「前に出されてしまう」ということが起きてきます。早めに打ち出す形を作って待っているのですが、日本のピッチャーには「間」があり、球持ちが長いですから「体が早く前に出てしまい」、前に出た分だけ、スピードボールが速く感じ、変化球は泳がされてしまうわけです。

 5年間積み上げてきたフォームを今度は「間」を取るものへと再びアジャストしなければいけないわけですが、これは簡単なことではありません。しばらくは試行錯誤の時間が続くのではないか、と思います。

 それでも、冒頭に書いた通り、川崎選手の日本復帰はホークスにとって大きなプラスになるでしょう。プレーだけではない魅力をたくさんの方に見ていただきたいと思います。

KEYWORDS:

オススメ記事

建山 義紀

たてやま よしのり

1975年12月26日生まれ。大阪府出身。 98年ドラフト2位で日本ハムファイターズに入団。ルーキーイヤーから先発ローテーションに定着し、6勝をあげる。以降、セットアッパー、ストッパーなどで活躍、日本一にも貢献。2010年オフ、FA権を行使しMLBのテキサス・レンジャーズに入団、13年にはNYヤンキースへ移籍。2014年6月に日本球界復帰(阪神タイガース)しこの年、現役引退。野球解説者として活躍中。


この著者の記事一覧